当店の製造職人スタッフはクラシックなコックコートを着用しています。昨今はスタイリッシュなユニフォームやカジュアルな格好で製造するお店も増えていますがそもそもコックコートとは？
コックコート（cook coat）とは、プロの料理人が調理をする際に厨房で着るユニフォームの名称です。コックコートが着用され始めたのは１９世紀のヨーロッパのことです。当時、スタンドカラーで打ち合わせがダブルの、いわゆる「ナポレオンジャケット」が流行していました。このナポレオンジャケットを原型にして調理時の機能性を加味したものがコックコートです。
コットン１００％のコックコートは火に強いため、火を扱うシェフにとってはなくてはならない作業着です。火に多少近づいても引火することがありませんし、通気性がいいため汗を大量にかいても常に快適な体温で調理を行うことができます。
コックコートは前身頃がダブルのデザインになっており、着用するシェフの身体の保護があります。シェフは火を使いますから、ウェストから上の上半身前部は熱にさらされている時間がかなり多くなってきます。そのため、前身頃の打ち合わせの部分をダブルにすることによって、火傷の危険を減らすことができます。しかも左前でも右前でも着られるようにできていますが、これは汚れがつきやすい厨房で働く人にとっては必要不可欠な生活の知恵です。
コックコートに使用されているボタンには通常のボタンではなく「紐釦（ちゅうこう）」というものが使用されています。布でできており、プラスチック製のボタンなどと違って熱や衝撃が加わっても割れたり欠けたりすることがありませんので食材に混入しないような工夫です。形状も球状になっていますから、熱い油が飛び散ったりしたときでも片手で釦をすぐにはずせるというメリットもあります。
ユニフォームは働く際の機能と衛生面を最大限に高めるように長い年月をかけて改良が加えられてきているわけですから、無駄がなくしかも利便性がとことん追求されているものなのです。