パンはとても不思議な食べ物です。晩御飯でシチューと一緒に食べられていたかと思えば、今日はチョコレートがはさまれていたり。食事とスイーツの間を自由に行ったり来たりできる、かなり特別な存在ともいえます。同じ主食カテゴリーでも、ご飯や麺ではスイーツには中々なりません。
パンを使ったお菓子は、ヨーロッパではお母さんがよく作る家庭料理の定番です。もともとは残って硬くなったパンをおいしく食べるために家庭的な工夫から生まれたもので、おなじみのフレンチトーストはフランスでは「残り物のパン」を意味する「パン・ペルデュ(Pain perdu)」と呼ばれています。
やさしい味わいと適度なボリューム感は子供から大人まで定番です。フランスパンはもともと水分を吸収しやすいパンなのですが、時間が経って乾燥していると吸水力はさらにアップ。卵液をぐんぐん吸って、中央までしっとりとろける極上のフレンチトーストに仕上がります。残ったパンの方がむしろおいしくできるのです。